【5分でわかる!】「繁栄のパラドクス」(クレイトン・クリステンセン他)
読み終えるまで約5分⏰
どうも、ちゃんなるです。
今回紹介するのはこの本!
『繁栄のパラドクス 絶望を希望に変えるイノベーションの経済学』
1960年以降、貧しい国々を援助するための政府開発援助(ODA)に4兆3000億ドル以上が費やされてきました。
しかし、1960年の貧困国の多くが現在も貧しいままです。
さらに、少なくとも12国が、数十億ドル相当の援助を受けていながら、1960年よりもさらに貧しくなっている事実があるのです。
なぜこんなことになっているのでしょうか?
それはひとことで言うと、援助の仕方が不適切だから、です。
本書で著者は、貧困をなくすためには『市場創造型イノベーション』が必要であり、ただ単に貧困を直接解決するためにインフラや制度に資金を投じればいいわけではないと主張します。
本記事では、繁栄とは何か、今日繁栄している国はどのような過程をたどっているのかということに焦点を当て、簡潔にまとめます。
はじめに
今回の記事は、本書の一部を要約したものです。
本書は全部で14の章があり、それを四つに分けた四部構成となっています。
第一部:市場創造型イノベーションのパワー
第二部:イノベーションと社会の繁栄
第三部:障壁を乗り越える
第四部:イノベーションにできること
今回は、第一部『市場創造型イノベーションのパワー』についてです。
著者紹介
クレイトン・クリステンセン()は、アメリカ合衆国の実業家、経営学者。初の著作である『イノベーションのジレンマ』によって破壊的イノベーションの理論を確立させたことで有名になり、企業におけるイノベーションの研究における第一人者である。また、イノベーションに特化した経営コンサルティング会社であるイノサイトを共同で設立し、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の教授も務めた。
(クレイトン・クリステンセン - Wikipediaより)
本書第一部の3つのポイント
①国の繁栄とは
②市場創造型イノベーション
③市場創造型イノベーションが起きるとどうなるか?
①国の繁栄とは
本書は、「繁栄に向かう道を見つける国と、そうでない国の違いはなんなのか?」という、たったひとつの問いから始まります。
一般的に『繁栄』とは、教育の受けやすさ、医療、安全、統治などがしっかり整備されていることです。
本書では『繁栄』を、『多くの地域住民が、社会的・政治的な幸福度を向上させていくプロセス』と定義します。
著者は、繁栄は状態でなく過程のことだと主張します。
これは、「今豊かであること」ではなく「どうしてここまで豊かになったか?そのためには何が行われてきたのか?」が大切ということでしょう。
今日は裕福な国であっても、昔は貧困国であったという国はたくさんあります。
想像し難いですが、我が国日本も、世界屈指の経済大国であるアメリカやヨーロッパの国々も貧困を抱える時代があったのです。
ではなぜ彼らは貧困を脱したのでしょうか?
そこには何があったのでしょうか?
それは、『イノベーション』です。
本書ではイノベーションは3種類あるとしていますが、貧困国の経済を大きく発展させる力があるのは、市場創造型イノベーションに他ならないとされています。
(3種類:持続型イノベーション、効率化イノベーション、市場創造型イノベーション)
②市場創造型イノベーション
市場創造型イノベーションとは、新しい市場を創造することです。
新しい市場とは、たくさんの無消費者を対象とした市場のことで、
無消費者とは、『生活のある部分を進歩させたいと切望しつつ、そのためのプロダクトを買えない、プロダクトの存在を知らない、プロダクトを入手する手段がない状況にある消費者のこと』です。
「???」
例えば、
アフリカのある村に住む人々を考えてみましょう。
そこでは車や道路などのインフラが全くなく、隣の村の親戚と会話するために、三日間歩いて移動しなければいけません。
彼らは、もっと親戚と話したいと切望しつつも、そのための”電話”というプロダクトを買えない、またその存在すら知らないのです。
こうした彼らのことを無消費者と言います。
彼らを対象にし、アフリカの村でも多くの人が使える携帯電話を普及させることができれば、彼らの生活は豊かになるでしょう。
馬車で移動するのが当たり前であった時代の人々を無消費者とすると、安価な自動車を提供することが市場創造型イノベーションとなりえるでしょう。
(アメリカのフォードモーター社が実例に当たる)
市場創造型イノベーションは、優れたプロダクトやサービスを、安価でシンプルなものに変換して無消費者の手の届く状態にすることなのです。
③市場創造型イノベーションが起きるとどうなるか?
結論、以下の通りです。
- 雇用が生まれる
- 制度やインフラが整備される
- 経済が活性化する⇨繁栄する!!!
雇用が生まれる:
市場創造型イノベーションによりあるプロダクトやサービスが作られ、新たな市場が形成される。
すると、そのプロダクトやサービスを運営・発展させるために人手が必要になります。
雇用が生まれるのです。
先程の携帯電話の例で言うと、携帯電話を製造する人、お店で実際に売る人、在庫を管理する人などです。
貧困国において雇用は人を豊かにさせるもので、人が豊かになることで新たな消費やイノベーションの源泉になりえます。
制度やインフラが整備される:
新たな市場が形成されると、新たな制度が作られたりインフラが整備されることがあります。
例えば、馬車が主流の時代に新たに車という市場が形成されたとしましょう。
この場合、より効率的に車が走れるように道路が整備されたり、道路脇にお店やガソリンスタンドなどが作られたりします。
車やお店が増えると道路交通やお店運営のルールや制度が整備されていきます。
経済が活性化する⇨繁栄する!!!:
制度やインフラが整備されることで、色々なビジネスが行いやすくなり他国から投資されやすくなります。
また、増えたお店や企業からの税収が増えることで国はさらにインフラやビジネス、そしてイノベーションに投資することが可能になります。
こうなればもう既にこの国は貧困国ではありません。
ここまでの、貧困国を裕福にする過程が繁栄なのです。
まとめ
貧困をなくすためには、貧困に苦しむ地域の中に新たな市場を創造する必要がある。
決して、ただ単純な解決策を与えれば解決するものではない。
貧困国に市場創造型イノベーションを起こし、その地域で持続的に利益や雇用を生み出せるようにすることが必要なのです。
本稿は、本書の一部を要約したものです。
本書は四部構成となっているので、第一部以外の内容は後日まとめ記事を出すかもしれません。
より深く知りたい、他の内容も気になる、具体例がたくさん欲しいといった方は、ぜひ本書を手にとってみてください!
書籍情報
繁栄のパラドクス 絶望を希望に変えるイノベーションの経済学 (ハーパーコリンズ・ノンフィクション 45) [ クレイトン・M・クリステンセン ] 価格:2,200円 |
繁栄のパラドクス 絶望を希望に変えるイノベーションの経済学【電子書籍】[ クレイトン・M・クリステンセン ] 価格:2,037円 |
【書籍名】繁栄のパラドクス 絶望を希望に変えるイノベーションの経済学
【著者名】クレイトン・M・クリステンセン、依田光江(訳)
【出版社】ハーパーコリンズ・ジャパン
【出版日】2019年6月21日頃
【ページ数】448ページ
【3分でわかる!】「2025年、人は「買い物」をしなくなる」(望月智之)
読み終えるまで約3分⏰
どうも、ちゃんなるです。
今回紹介するのはこの本!
『2025年、人は「買い物」をしなくなる』
みなさん、「買い物」は好きですか?
それとも、面倒ですか?
良くも悪くも現在の「買い物」スタイルは、そう長くは続きません。
2025年、近い将来、「買い物」は新たな形へと進化していくのです。
著者紹介
1977年生まれ。株式会社いつも.取締役副社長。
東証1 部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつも.を共同創業。
同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。
消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。
ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、
「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。
この本の結論!
近い将来、
- 人は「買い物」のために外出しなくなる
- 「買い物」は一瞬の出来事となる
- 「買い物」が無意識下で行われるものとなる
著者はこのように予想しています。
この本の3つの要点
①現在の「買い物」のカタチ
②「買い物」は「面倒なもの」となっている
③「買い物」の未来、「デジタルシェルフ」
①現在の「買い物」のカタチ
一昔前では、買い物は、実際に店舗へ行って欲しいものを探すというのが一般的でした。
しかし、現在ではネットで買うという行動が増えているように思えます。
また、欲しいものをネットで検索してから店舗で買うウェブルーミングや、店舗で実際に見てからネットで買うショールーミングなどの買い方をする人もいるでしょう。
これは、探す手間を削減するため、少しでも安いものを手に入れるために行われます。
よく使う方には、ウェブルーミングやショールーミングが浸透しているかもしれませんね。
インターネットやスマートフォンの発展により、私たちはいつでもどこでも「買い物」ができるようになりました。
また、ネットを通じて大量の情報にアクセスが可能になり、自分が欲しいものに関する情報を得てから実際に購入するまでの時間が、大幅に短縮されました。
②「買い物」は「面倒なもの」となっている
あなたは「買い物」が好きですか?
「好きです!」と答える人もいれば、「嫌いです…」と答える人もいるでしょう。
ですが、この頃私たちの中には、「買い物が面倒だ」と考える人が増えているようです。
そういった人たちの頭の中には、
「並ぶのが嫌だ」「探すのが面倒」「お店に行ってもないかもしれない」
といった考えがあるでしょう。
なぜ、「買い物が面倒だ」と考えるようになったのでしょう?
それは、我々現代人は忙しく、「時間が欲しい」と思っているからでしょう。
しかし、膨大な情報が飛び交う今日では、私たちは様々なことに注意を持っていかれ、忙しくなるばかりです。
そして今日では、買い物が面倒扱いされるようになっているのです。
現在、買い物の時間を短縮するあらゆるサービスが台頭しています。
ネットショッピングやフードデリバリー、音楽や映画など娯楽のサブスクリプションなどなど。
(Ex. Amazon、楽天、UberEats、Netflix、Spotify、Apple Music、、、)
こういったサービスがこの先も進歩を遂げ、反対に、物を販売する実店舗が衰退していくでしょう。
③「買い物」の未来、「デジタルシェルフ」
デジタルシェルフとは、
世の中の電子化が進む中で、日常の身の回りにあるありとあらゆるものがシェルフ(商品棚)になること
(本書より)
と本書で定義されています。
これは、膨大なユーザーの情報を元に、私たち個人個人の商品棚がオンライン上で構築されるということです。
例えば、以下のようなものが想像できます。
- スマートグラスが普及すれば、目の前にあるものを画像解析をして、その場で同じものや類似品を購入できるようになる
- 冷蔵庫が中のものを自動解析して、常備品が切れそうになったら自動で注文がされる
- 身につけたリストバンドが勝手に体調の変化を検知し、健康グッズやサプリメントが注文される
デジタルシェルフが実現されると、私たちが「買い物」にかける時間が限りなく小さくなります。
また、「買い物」がそもそも無意識で行われることもあり得ます。
このような世界がやってくるのは、そう遠くないのです。
まとめ
インターネットの普及により、人々は「買い物」に行かなくなります。
その背景には、「買い物は面倒なことである」という我々の感情です。
それゆえ、店舗で商品を販売するというサービスが衰退していき、企業はオンライン上の商品棚をめぐって争い始めます。
いかにユーザーの欲しい物を推薦するか、いかに素早くユーザーへ届けるかという問題の解決に向けて、あらゆる企業が争うのです。
近い将来、私たちの買い物は、いつでもどこでも瞬時に行われるものに進化をしていくことでしょう!
この記事は簡単な要約です。
より深く知りたい、他の内容も気になると思う方は、ぜひ本書を手にとってみてください!
書籍情報
2025年、人は「買い物」をしなくなる 次の10年を変えるデジタルシェルフの衝撃 [ 望月智之 ] 価格:1,628円 |
2025年、人は「買い物」をしなくなる 次の10年を変えるデジタルシェルフの衝撃【電子書籍】[ 望月 智之 ] 価格:1,540円 |
【書籍名】2025年、人は「買い物」をしなくなる
【著者名】望月智之
【出版社】クロスメディア・パブリッシング
【出版日】2019年11月
【ページ数】192ページ
【3分でわかる!】「SINGLE TASK 一点集中術」(デボラ・ザック)
読み終えるまで約3分⏰
どうも、ちゃんなるです。
今回紹介するのはこの本!
『SINGLE TASK 一点集中術』
「毎日が忙しい。」
「だけど、仕事が進まない。」
そう感じている人いませんか?
現代人の我々は、デジタル機器の発展により注意散漫な状態に陥っています。
そのため、タスクに集中しきれず、なかなか進めることができません。
本書は、集中力を上げる方法、タスクを手際良く終わらせる方法を紹介するものです!
著者紹介
コーネル大学ジョンソンスクール(経営大学院)の客員教員を15年以上にわたり務め、マネジメントスキルやネットワーキングについて講義を行う。アメリカ教育省、コーネル大学、メンサ、スミソニアン協会、ロンドン・ビジネススクール、デロイト、オーストラリア・インスティテュート・オブ・マネジメントなど100を超える企業、団体にリーダーシップ、チームマネジメント等の指導を行う。オンリー・コネクト・コンサルティング社CEO。『自分のタイプを理解すればマネジメントは成功する』(SBクリエイティブ)、『人脈作りが嫌いな人のための人脈術』(未邦訳)などがある。(デボラ・ザック | 著者ページ | ダイヤモンド・オンラインより)
全体として、本書の主張は次の1点に尽きます。
『1つの物事にだけ、集中しよう』
本を読んでいるならその本の内容に、
友達と一緒にいるならその相手だけに、
会議をしているなら話者の話だけに、
といった具合です。
「そんなの普通では?」と思うかもしれませんが、意外と私たちはできていません。
この本の3つの要点
①シングルタスクとは?マルチタスクは幻想?
②マルチタスクの悪影響
③シングルタスクのやり方
①シングルタスクとは?マルチタスクは幻想?
シングルタスクの原則は、
『一度に1つの作業に集中して、生産性を上げる』
です。
ふとした瞬間に浮かんでくる雑念や、外からの刺激をシャットアウトする必要があります。
シングルタスクができていない状態は、生産性や集中力が落ちている状態です。
例えば、
勉強していたのに急に服が欲しくなってオンラインショップを開いてしまったり、
読書していたのにスマホの通知がなって画面を開いてしまったり、
ミーティング中にメールをチェックしていたり、
などなど
シングルタスクの反対に、マルチタスクという言葉があります。
このマルチタスクは、一見、複数のことを同時にこなしていて優秀そうな印象を持っています。
しかし、本書では、マルチタスクなど存在しない、幻想だ!と書かれています。
私たちが思うマルチタスクは、脳が素早くタスクの対象を切り替えているだけ(タスク・スイッチング)にすぎない、とのことです。
神経学的に、脳は2つのタスクを同時に処理することができません。
(例外あり:脳の同じ部位を使わないなら可能。『運転しながらラジオを聞く』、『皿洗いしながら歌を歌う』、などなど)
マルチタスクは存在しないのです!
②マルチタスクの悪影響
マルチタスクは、要は、一つの物事に集中できておらず、注意散漫である状態です。
こんな状態では仕事が進まないと思いませんか?
ですが…
「いやいや、複数の仕事を並行してこなした方がいいよ!」
「たくさん仕事引き受けてる方が優秀じゃん!」
こんなことを思う人もいるかもしれません。
しかし、次のようなデータがあります。
ハーバード大学の行った調査によると、『仕事のパフォーマンスの高い人は、パフォーマンスの低い人に比べ、タスク・スイッチングの回数が少ない』また『パフォーマンスの低い人は、1日に500回もタスク・スイッチングを行っている』ということがわかったのです。
マルチタスク、もといタスク・スイッチングは、仕事の効率を低下させるのです。
また、マルチタスクは対人関係に悪影響を及ぼします。
以下のような状況で、あなたはどう感じますか?
不快な思いをしませんか?
これらは、相手がマルチタスクをしている状態のいくつかの例です。
対人関係においてマルチタスクとは、目の前の相手に注意を払わない、ということになります。
これでは友好な関係は遠のくでしょう。
マルチタスクは、仕事もプライベートもお粗末にしてしまう行為なのです!
③シングルタスクのやり方
じゃあどうやったらシングルタスクをできるのか?
そのやり方を簡単に紹介します。
ひとことで言うと、「何かに取り組む際に、雑念や外からの刺激を感じないようにする」です。
???
外からの刺激を絶つとは、
例えば、
- スマホの通知を切る
- 電話はマナーモードにする
- 一人で部屋にこもる
- 勉強中は声をかけないでと同居人にお願いする
などです。
雑念はある程度仕方ないものですが、
その断ち方には、例えば、
- タスクに関連のないものは視界の外に置く
- 勉強中に何かやらなければならないことが思いついたらメモに書いて勉強後に取り組む
ということは有効でしょう。
『目の前のこと意外を考えないようにする、その仕組みづくり』がポイントなのです。
まとめ
以下の2点、覚えておいてください!
- シングルタスクを実践し、仕事をしっかりこなし、さらに友達との時間も大切にできるようになりましょう!
- マルチタスクにならないようにするには、気合だけでなく、集中が途切れない仕組みを作ることが大切です!
この記事は簡単な要約です。
本書には、マルチタスクがよくない理由、シングルタスクになる方法の具体例が豊富に書かれていました!
それらを気になる方は、ぜひ本書を手にとってみてください!
書籍情報
SINGLE TASK 一点集中術 「シングルタスクの原則」ですべての成果が最大になる [ デボラ・ザック ] 価格:1,650円 |
SINGLE TASK 一点集中術 「シングルタスクの原則」ですべての成果が最大になる【電子書籍】[ デボラ・ザック ] 価格:1,485円 |
【書籍名】SINGLE TASK 一点集中術
【著者名】デボラ・ザック(訳:栗木さつき)
【出版社】ダイヤモンド社
【出版日】2017年9月1日頃
【ページ数】224ページ